識者「検察は正当防衛を認めて不起訴にするはず」
過去には、相手が死亡したものの、正当防衛だとされたケースがある。
千葉県船橋市のJR総武線・西船橋駅で1986年、酒に酔って絡んできた男性を女性が一度突き飛ばしたところ、男性がホーム下に転落し、電車にはねられて死亡する事件があった。結果は重大だったが、転落死は想定外だったとして、千葉地裁が翌年、正当防衛を認めて無罪判決を出し、そのまま確定している。
今回のケースでも、太ももにナイフを何度も刺したのではなく、死ぬことも想定外だったとみなされれば、正当防衛が認められるかもしれない。
もっとも、女性が通行人に助けを求めたのが2時間半後で、その間の行動などがまだはっきりせず、目撃情報なども報じられていないため、不透明な要素は多く残っている。
板倉宏日大名誉教授(刑法)は、女性が話した行為について、こう言う。
「ナイフで刺すなど過剰防衛かもしれないところがあり、難しいところですが、ナイフで脅されたというのなら、正当防衛ともみなされるのではないかと思います」
女性が素手で反撃に出れば刺されるかもしれず、たとえ男性がナイフを使いそうでなくても、女性の力ではナイフでなければ立ち向かえないことも考慮されるかもしれないと言う。
女性が書類送検されても、検察は、正当防衛と認めて不起訴処分にするのではないかとみている。