ビジネスモデル特許申請を根拠に事業を正当化
2013年10月3日の勧告後にアブラハム社が発表した報道資料は、「皆様にはご心配をお掛けいたしましたことを深くお詫び申し上げます」と一応陳謝はしているものの、内容はよくわからず、投資家も理解に苦しむ内容だ。例えば、発表文では、
「投資助言会社という中立的な立場で、『個人投資家の海外ファンドへの直接投資をサポートする』という日本初の新しいビジネスモデルで業務を行っておりました」
と、自らの中立性を引き続き主張し、中立性を否定している勧告と噛み合っていない。また、勧告を受け入れるとも読み取れるが、その一方で自社の法令違反を認めないばかりか、「業務改善」をうたっておきながら、どの点を改善するかは不明だ。さらに、特許を申請すると何らかの正当性を主張できるとも考えているようで、独自のビジネスモデルを理解できない当局がおかしいと言わんばかりの内容だ。
「法令遵守を徹底し、ビジネスモデル特許を申請していたにも関わらず、誠に残念ながら、弊社のビジネスモデルに関して当局と見解が異なりましたので、この度の検査結果を厳粛に受け止め、改めて速やかに業務改善を行い、一層の内部管理体制の強化に努める所存でございます。またその他の指摘についても真摯に受け止め、業務改善して参ります」
また、太字で、
「弊社お客様の資産に関しては、AIJ事件やMRI事件とは異なり、海外金融機関にて健全に運用されております」
と、ファンドの実態があることを強調している。
金融庁はアブラハム社に対して業務停止命令を出す方針で、近く同社の主張を聞く「聴聞」を開いたうえで正式に処分内容を決定する。