5割超の企業が活用を検討中
個人の病歴と運転する自動車の走行履歴がビッグデータとして合体できれば、その人の健康状態や自動車の走行距離、運転速度などを分析することにより、生命保険や損害保険を今以上にリスク細分型に進化させることができ、最終的にはの生命保険料や損害保険料の計算を個人別に行うことも可能になる。
問題は個人情報の保護だ。今夏、JR東日本がIC乗車券Suica(スイカ)の利用履歴をデータとして第三者に販売したところ、利用者の同意がなかったとして、プライバシー保護が問題となった。ビッグデータに詳しい専門家は「個人情報保護法に抵触しなくとても、プライバシー保護の観点から必要な対策が取られていることが必要だ。法的な規制や自主規制について、欧州や米国の動向をウォッチし、日本も備えていくのが望ましい」と話している。
また、個人別データ分析も、個人向けのより便利なサービスや商品の提供につながる可能性がある一方、例えば自己のリスクが高いなど人の保険加入を拒否するなど特定の人の排除につながる恐れもある。
日本政策投資銀行の調査によると、ビッグデータを活用した関連産業の国内市場規模は2012年度の約5300億円から、2015年度には約1兆1000億円に倍増する見通しだ。国内で既にビッグデータを活用していると回答した企業は1割に満たないが、5割超の企業がビッグデータの活用を検討中か検討の可能性があると回答しており、様々な問題を抱えつつ、ビッグデータ活用が大きな流れになるのは間違いない。