「2014年6月」が優先株処理にメドをつけるタイムリミット
ただし、三菱御三家が優先株の買い入れ消却に応じる場合、割安価格での買い入れに応じて支援することになるとされ、御三家に計1000億円超の損失が生じる可能性がある。このため、三菱グループ内には「銀行が勝手に描いたシナリオ。本決まりではない」(グループ幹部)との声もあり、必ずしも足並みがそろっているわけではない。
それでも、2014年6月には優先株の一部が普通株に強制的に転換する期限を迎え、優先株を普通株に転換する時期を決める権利が保有者から三菱自側に移ってしまう。このため、この「2014年6月」が優先株処理にメドをつけるタイムリミットになる。
それだけに「今はグループ内の綱引きが続いているだけ。結局はこの線(2000億円規模の増資)で落ち着く」と見る向きが業界内には多く、年度内には公募増資が実施される可能性が強まっている。
一方、三菱自の2012年度の世界販売台数は約100万台と、トヨタ自動車の10分の1程度。グローバル競争が激化する自動車業界で、単独で競争に打ち勝つには限界があるとの指摘は少なくない。
三菱グループ内でも「経営再建後は生き残りのためには他社と提携するしかない」と他メーカーとの提携の重要性が認識されている。
優先株の存在が、他社との提携の障害でもあっただけに、公募増資によって優先株処理が進めば、新たな提携に向けた動きも加速しそうだ。