大きな揺れで反射的に意識は原発へ【福島・いわき発】

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   いきなり真下から来た。地面が「ゴゴゴゴゴ」と音を出して揺れ、ベッドに本が落ちてきた。9月20日午前2時25分。揺れの激しさ・大きさは、東日本大震災からちょうど1カ月後に2日続けて起きた巨大余震に似る。震源はいわき市内陸部――ベッドを飛び出しながら、そう直感した。原発は大丈夫か――意識は反射的にいわきの北へ向かう。


   家の中を見て回った。階段に積み上げておいた本が半分ほど崩れ(=写真)、観音開きの食器棚が開いて、皿やコップが5~6個落ちている。割れたものもある。茶の間では扇風機がうなりをあげていた。落下した置物で「強」にスイッチが入ったのだ。本棚の上に飾っておいた写真の小額縁などがすべて落ちている。金魚鉢の水がこぼれて畳を濡らした。


   家の外はどうか。中秋の名月がやや西の空にあった。月明かりを頼りに、家の壁や生け垣を見て回った。倒れたものはない。周りの家々にも明かりがともっている。晴れて穏やかな晩、深い眠りに入ったところを、震度5強の揺れに襲われた。どの家でも台所や茶の間を点検しているようだった。


   家に戻り、階段の本を踏み越えて2階の様子を見る。本棚こそ倒れなかったものの、本がなだれ落ちていた。そのことを告げると、「またダンシャリだなー」とカミサンが言う。ここ数日はヒマがない。毎日少しずつ、時間をかけて片づけるしかなさそうだ。


   気象庁が発表した震源位置は、おおよそ北緯37度・東経140度の「福島県浜通り」だ。2011年4月11、12日の巨大余震は、いわき市南部の山間部、井戸沢断層と湯ノ岳断層が動いて起きた。11日は北緯36度・東経140度、翌12日は北緯37度・東経140度が大まかな震源位置で、今回もその付近で発生したことがわかる。


   田人は、遠野は、常磐は大丈夫だったか。今度も2日続けて震度5強なんてことにならないといいのだが……。


   地震からおよそ1時間たった3時半ごろ、ヘリコプターが海の方を北へ向かって飛んで行った。6時ちょうど、NHKヘリがいわき市の中心市街地の様子を生中継で伝えた。6時前、わが家の上空をゆっくり南下していくヘリがあった。NHKのヘリだったのだろう。

(タカじい)



タカじい
「出身は阿武隈高地、入身はいわき市」と思い定めているジャーナリスト。 ケツメイシの「ドライブ」と焼酎の「田苑」を愛し、江戸時代後期の俳諧研究と地ネギ(三春ネギ)のルーツ調べが趣味の団塊男です。週末には夏井川渓谷で家庭菜園と山菜・キノコ採りを楽しんでいます。
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