日韓基本条約締結時には引き渡し対象から外れる
小倉コレクションをめぐる日韓の綱引きには、長い歴史がある。1965年に結ばれた日韓基本条約をめぐる交渉で、韓国側は朝鮮半島から日本に渡った文化財の返還を要求。条約締結後、日本政府は「日本にある韓国由来の文化財を韓国に返還する義務はない」という立場を取る一方、「日韓間の友好関係の増進を考慮」した結果として韓国由来の国有文化財1321点を韓国側に「贈与」している。ただし、小倉コレクションに関しては、民間が所有していることを理由に引き渡しの対象から外れていた。
国会でも論点になったことがある。07年4月の衆院文部科学委員会では、共産党の石井郁子衆院議員(当時)が、小倉コレクションを含む韓国由来の文化財の返還を主張した。伊吹文明文科相(同)の答弁では、
「韓国あるいは韓半島由来の文化財がどういう形で日本に来ているかということについては、正常な商取引によって来ているものもあれば、あるいは、日本として韓国に対し贖罪的な意識を持たねばならないような形で日本に来たものもあるかもわかりません、それは」
と盗難品が含まれている可能性を示唆している。ただし、返還については、
「法律上は、国際法上の決着はついているという問題」
「少しそれ(法的問題と道義的問題)を先生、余り混同してやってしまうと、国と国との関係はかえって情緒的になるんじゃないでしょうか」
と否定的だった。