事故なくも、事業者は運用変更に及び腰
優先席付近の携帯電話オフの必要性について、総務省の電波環境課では、こう言う。
「われわれの立場としては、指針に沿って運用してほしいとしか言えません。強制力のある規制ではなく技術的な情報共有ですので、電車内での運用は、通話マナーなども含めて、鉄道事業者が考えるべきだということです。指針については、すでに事業者に説明しており、各社が定期的に話し合って検討していると聞いています」
携帯による影響については、世界でも事故が起きたという報告は聞いたことがないとした。
「影響と言っても、ペーシングの頻度がちょっとずれたという一時的な誤作動です。気分が悪くなったり、立ちくらみがあったりするかもしれませんが、携帯を離せばペーシングは元に戻ります。ペースメーカーの機械が壊れるというのは、考えられないことです」
とはいえ、鉄道事業者は、電車内での運用の変更には躊躇している様子だ。
前出の京阪電鉄では、総務省の指針緩和で車内放送を変更したことを広報担当者が認めたものの、「ラッシュ時以外は電源オフでなくてもいいということではないです。そのように変更するという動きも聞いていません」と説明した。また、JR東日本の広報部では、「影響がないと証明されたかよく分からない状況ですので、特に今までの取り組みは変えていません。すぐに電車内での運用を変えるということもないです」と取材に答えている。