安倍晋三首相は2013年10月1日夕方会見し、14年4月から消費税率を5%から8%に引き上げることを表明した。消費税率が上がるのは橋本龍太郎内閣が97年4月に3%から5%に引き上げて以来17年ぶり。
景気の腰折れを防ぐための総額5兆円規模の経済対策も示した。復興法人税を1年前倒しで廃止するほか、賃上げした企業の法人税を減らすなどする。個人向け対策としては、低所得者2400万人に1万円を支給し、年収500万円以下の住宅購入者には10~30万円を給付する。12月に具体案をまとめたい考え。
消費増税分は「社会保障にしか使わない」
安倍首相は会見冒頭、
「社会保障を安定させ、厳しい財政を再建するために、財源の確保は待ったなし。だからこそ昨年、(民主党の野田内閣が提出した)消費税を引き上げる法律に私たち自民党、公明党は賛成した」
と増税の意義を強調。消費増税による税収は「社会保障にしか使わない。当然、歳出の無駄は不断に削減していく」と述べた。
消費が落ち込むリスクについては、2期連続で3%以上のプラス成長をしていること、有効求人倍率が0.95まで回復したこと、設備投資が持ち直していることなどを挙げながら
「15年間にわたるデフレマインドによってもたらされた日本経済の縮みマインドは変化しつつある。であれば、大胆な経済対策を果断に実行し、景気回復のチャンスをさらに確実なものにすることにより、経済再生と財政健全化が両立しうる。これが熟慮した上の私の結論」
と説明、理解を求めた。それ以外にも、10月1日朝発表された日銀の企業短期経済観測調査(短観)で、大企業製造業の業況判断指数(DI)が3期連続の改善となったことも、増税に向けた判断を後押しした。
法律どおり15年10月に10%に引き上げるかどうかについては、「適切に決断していきたい」と述べるにとどまった。