進次郎「復興政務官」に込められた安倍政権の狙いは? 「脱原発」小泉元首相と「あ・うん」の秘策なのか

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   小泉進次郎衆院議員が、「震災復興」を担当する内閣府政務官に決まった。一見単なる人気取りとも見える人事だが、気になるのは父・小泉純一郎元首相の存在だ。

みんな・渡辺代表とも「脱原発」で意気投合

「政治が早く、将来原発ゼロにしようという目標を打ち出せば、多くの国民がドンドン協力すると思いますよ」
「汚染水なんていうのは、どこから漏れてるのか、海は大丈夫なのか、はっきりした結論が出てない」

   2013年9月24日、小泉元首相が都内で行った講演は、明確に「脱原発」を打ち出したものだった。

   小泉元首相が毎日新聞紙上で「原発ゼロしかないよ」という見解を示したのは8月のことだ。当初、世間は半信半疑の感さえあったが、以後も上記の講演などで繰り返し原発問題に言及、9月27日にはみんな・渡辺喜美代表との会食で「首相が脱原発を決めれば前に進むのに、残念だ」と、「首相批判」まで飛び出したという。

   小泉元首相が「脱原発」を掲げ、国民的人気の高い息子・進次郎議員とともに決起する――元外交官の天木直人氏はブログでこうしたシナリオを指摘するが、氏ならずともそんな事態を想像する人は多いだろう。にもかかわらず安倍首相はあえて、進次郎議員を原発問題とかかわりが深い「復興担当」ポストに抜擢してみせた。これではまるで、わざわざ火種を持ち込むようなものではないか。

   安倍首相の心中はどこにあるのか。政治評論家の有馬晴海氏が分析する。

「実はこれは、想像以上のうまい人事なんです」

   えっ、どういうことですか?

「まず重要なのは、『復興担当』であって『原発担当』ではないことです。別に原発問題に進次郎議員が取り組むとは言っていない。しかし『復興』ということで、原発問題も含めて『進次郎がしっかりやってくれる』という期待感を生み出すことができるわけです」

安倍首相が「脱原発」に転向する日

   進次郎議員は月1回被災地の訪問を続けており、現地の人々からも人気が高い。テレビの取材でも、住民たちからは「進次郎政務官」歓迎の声が相次いだ。確かに有馬氏の言うとおり、原発について特別な政策を打ち出したわけでもないにもかかわらず、「進次郎人事」で政権への期待は着実に高まっている。仮に原発問題が前進しなくとも、進次郎議員には傷が付かない。

   しかし天木氏が言うように、進次郎議員と小泉元首相が父子タッグで脱原発を訴え、政権批判に走る危険はないのだろうか。有馬氏は、それも計算のうちだと見る。

「もちろん安倍首相からすれば、小泉元首相の脱原発主張は『迷惑』ではある。ですが仮に、原発問題が悪化してにっちもさっちも行かなくなった場合、進次郎議員のような発信力のある人物が政権内で『脱原発』を唱えていれば、安倍首相としても政策転換の舵を切りやすい。むしろ政権にとっては、選択肢が増えたということだと思います」

   いわば小泉父子は、安倍政権にとって「保険」というわけだ。

   一方の進次郎議員にとっては、政治家としての今後を占う試金石ともなる。「週刊朝日」9月27日号は2020年の東京五輪までに、進次郎議員が「戦後最年少」首相になると予測しているが、実現するかどうかは「復興」をどれだけ前進させられるかにかかりそうだ。

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