現社長はスポーツカーで国際レースに
現在57歳の章男社長は、歴代の豊田家出身の社長の中でも異色の存在だ。英二氏が死去する直前の9月15日には、富山県南砺市で開かれた「TRDラリーチャレンジ」(トヨタテクノクラフト主催)の第4戦にスポーツカー「86(ハチロク)」で出場。排気量1.5リッター以上の「クラス4」で2勝目を挙げ、年間のクラス総合優勝を決めた。
章男社長は国際ライセンスを持ち、「モリゾウ」のニックネームで、これまでドイツの24時間レースなどにもドライバーとして出場している。自動車メーカーの中ではホンダが歴代、クルマ好きの技術者出身の社長を輩出しているが、実際にモータースポーツに参戦する社長は国内ではもちろん、世界の主要メーカーを見ても稀だ。
章男社長は自身がクルマを楽しむ姿をユーザーに見せることが「若者の車離れ」を止める有効策と考えているようだ。これまで機会あるたびに「モリゾウの役割はクルマファンを増やし、クルマを楽しむ文化を育てることだ」「すべてのメンバーが常に一段高い目標を掲げ、情熱をもってそれにチャレンジすることは、いいクルマをつくる上で必要なだけでなく、一人ひとりの成長にもつながる」などと語っている。
豊田家のクルマを愛するDNAは、英二氏から章男氏へと脈々と受け継がれているようだ。章男氏のモータースポーツ参戦には「クルマ好きのおぼっちゃん社長の道楽」という批判もあるが、クルマへの理解や愛情がなければ、楽しい商品は生まれない。クルマ好きの創業家を経営トップに据えるトヨタの今後が注目される。