過去には給食を休止して宅配式弁当に切り替え
では今回の問題でクロバネキノコバエが、どのようにパンに付着するに至ったのか。パンは隣接する御嵩町の工場でつくられ、製造工程でハエが混入したとみられている。ハエの侵入経路として疑われているのが工場の網戸やサッシだ。クロバネキノコバエの体は小さいため、隙間が大きいと簡単にすり抜けられる。
そして、問題が夏休み明けの月曜日に発生したことから、夏休み中は使用していなかった道具を清掃せずに使い、ハエが混入した可能性があるとも指摘されている。丸パンの場合、パンの下の部分にハエの死骸が集中していた。ハエの密集する鉄板の上にパン生地を乗せ、オーブンでこんがり焼いてしまったというわけだ。市教委や給食センターは工場の立ち入り検査をして再発防止を要求した。
実は、クロバネキノコバエの大量発生で、給食に影響が出たケースは過去にもある。広島県の府中北小学校には2012年6月、給食調理室にハエが入り込み、給食を休止して宅配式弁当に切り替えた。同7月に京都府の三室戸小学校で大量発生し、3校分の給食が作れなくなった。
多くの自治体や学校を悩ませているクロバネキノコバエだが、愛知県豊田市の調査報告書によると、広範囲に大量の薬剤を散布して駆除するのは難しく、むしろ健康被害の懸念がある。個別の侵入防止策としては、網戸をメッシュ1ミリ程度に変えるなどの隙間対策が有効だ。