厚生省も国の指針改定に動く
厚生労働省も重い腰を上げ、5月に有識者と自治体代表らでつくる「都市部の高齢化対策に関する検討会」を発足させた。同検討会が9月20日にまとめた報告書は、区域外の介護施設などの整備を限定的に認め、後期高齢者の保険料負担を移住前の自治体が負担できるようにするほか、住所地特例を特養以外のケア付き住宅にも拡大することなどを打ち出した。厚労省は報告書を受け、2014度中に国の指針を改定し、2015年度から適用したい考えだ。
ただ、老人の地方移住には、「現代の姥捨て山」になるのでは、という批判が付きまとう。厚労省も、医療と介護が連携した「地域包括ケアシステム」の整備を大方針に掲げているだけに、本音では遠隔入所の推進に及び腰。東京23区の半分以下と安い多摩で23区住民向け特養を整備できるようにするなどを想定しており、県境を超える杉並区・南伊豆町のような例は、先の同省の検討会報告書でも、あくまで例外とし、自治体間に連携・合意がある場合に限って認める方針を示した。杉並区も、本人の意思はもちろん、家族との連絡が密かなどを考慮して入所者選定には慎重を期す考えだ。