メーデー中央大会決議では「雇用・生活の改善に逆行」と政権批判
実は半年ほど前にも、同様のやりとりが繰り返されている。13年2月、安倍首相は経済3団体と開いた会合の中で賃上げを要請。この席でも米倉会長は、企業の業績が改善することを前提に「一時金や賞与に反映する」と前向きで、実際にローソンなど賃上げに踏み切る企業が相次いだ。
これに対する連合の立場は冷ややかだった。4月27日に行われたメーデー中央大会で採択された「特別決議」では、安倍政権が解雇規制緩和に向けた議論を進める一方で社会保障制度改革は先送りされつつあることを指摘しながら、
「企業経営者には賃上げを求めていながら、生活保護基準の引き下げや地方公務員の給与引き下げを進めようとしている。これらの政策は、つじつまが合わないばかりか、雇用・生活の改善に逆行するものであり、断じて認めるわけにはいかない」
と、逆に政権批判を展開した。
好意的に見れば、連合は賃上げよりも雇用や福祉を守ることを重視したと解釈することもできる。
安倍政権は、ある仕事を派遣労働者に任せられる期間を原則3年に定めた「3年ルール」の撤廃をはじめとする労働者派遣制度の見直しを進めている。これに反対する集会が9月20日に開かれ、古賀会長は、
「世界でも類例のない常態的な間接雇用制度を我が国に持ち込むことになる」
と安倍政権との対決姿勢を強めた。