「風立ちぬ」大ヒット中の宮崎駿監督が、零戦パイロットを主人公にした人気作「永遠の0」を猛批判した――そんなニュースが飛び込んできた。
「今、零戦の映画企画があるらしいですけど、それは嘘八百を書いた架空戦記をもとにして、零戦の物語を作ろうとしているんです。神話の捏造をまだ続けようとしている。『零戦で誇りを持とう』とかね。それには僕は頭にきてたんです。子どものころからずーっと!」
「相変わらずバカがいっぱい出てきて、零戦がどうのこうのって幻影を撒き散らしたりね。戦艦大和もそうです。負けた戦争なのに」
「戦争肯定」百田氏と一緒にされたくない…ホント?
2013年8月19日発売された映画雑誌「CUT」(ロッキング・オン)9月号掲載のインタビューで、宮崎監督は3万字にわたって「風立ちぬ」について語っている。その中から、上記の部分を9月25日、ネットメディア「ビジネスジャーナル」が引用、宮崎監督が名前を挙げていない「零戦の映画」が「永遠の0」だと断定し、「宮崎監督が『永遠の0』酷評」と報じた。
「永遠の0」は百田尚樹さんによる、特攻で戦死した零戦パイロットの生涯を描いた小説だ。文庫本は歴代1位となる累計250万部超のベストセラーとなっており、12月には映画版も公開される。ちなみに配給はともに東宝で、劇場によっては「風立ちぬ」上映前に「永遠の0」予告編が流れている。
そんな話題作を、宮崎監督はなぜ「酷評」したのか。ビジネスジャーナルは、原作者の百田さんが宮崎監督とは正反対の思想の持ち主だからだとして、こう推測する。
「宮崎があえてインタビューで『永遠の0』批判を繰り出したのは、戦争を肯定する百田と一緒にされるのが耐えられなかったのかもしれない」
確かに百田さんは安倍晋三首相と対談するなどしばしば保守的な政治見解を披歴しており、護憲、反戦を強く打ち出す宮崎監督とは主張がかなり違う。また、「右翼エンタメ」と論評した朝日新聞を始め、「永遠の0」を「戦争賛美」だと批判する声も存在する。
「戦争賛美」の百田さんVS「反戦」宮崎監督、なるほどわかりやすい構図ではある。