「日本人として言うべきこと言わねば」が持論
国際舞台で堂々とスピーチを披露する首相。その立役者として名前が挙がるのが、内閣審議官の谷口智彦氏だ。「AERA」9月23日号では、谷口氏の貢献ぶりを紹介している。
元は経済誌「日経ビジネス」記者で、英語に堪能。「日本人として言うべきことはきちんと言わなければならないし、そのためには自分で発信することをちゅうちょしていては何も始まらない」が持論だという。
6月2日付の日本経済新聞も、谷口氏を詳しく取り上げた。第1次安倍内閣では外務副報道官を務め、当時の麻生太郎外相の訪米時の演説原稿を英語で書いていたという。こうした経験を踏まえて首相がスピーチライターに指名した。外交演説では初稿から起草するケースも少なくなく、5月のサウジアラビアでの演説は「共生・共栄・協働」というキーワードを提案、日本が中東から石油を輸入する「一方通行の関係は過去のもの」と位置づけ、「21世紀は共に生き、共に栄える世紀だ」との内容にまとめた。
首相は演説のシナリオに、現地にまつわるエピソードを取り入れたがるという。今回、NYSEで映画「ウォール・ストリート」のセリフを散りばめたのも、首相の意向を谷口氏がくみ取ったのかもしれない。
米国時間9月26日にニューヨークの国連総会で行われる一般討論演説の中で、首相は女性重視をアピールする予定だ。従軍慰安婦をめぐる日本政府の姿勢を強く批判している韓国をはじめ、諸外国に対してどんな内容で日本の立場を説明するかが注目される。