AKB48ファンとしても知られる漫画家の小林よしのりさん(60)の新刊「AKB48論」が、2013年9月26日に発売された。
過去にブログで「この本をもってAKBに関する一切の言論活動は終わる」と宣言し、「よしりんがついにヲタ卒か」と話題になったが、中身を見てみるとAKBへの愛情がほとばしっている。小林さんがAKBを卒業する日はまだまだ遠そうに感じられる。
「わしの大量購入は良い子の買い方だ。見習うべし!」
この本では、小林さんが09年発売の曲「RIVER」をきっかけにAKBにはまったこと、自分はロリコンではなくメンバーを子供や孫を見る気持ちで愛でているということから、AKBバッシングなどの「ネットいじめ」はフランス革命で大衆が妬みの対象を断頭台に上げたのと近しい、AKBの「神対応」は日本人が失いつつある「TPOに合わせた対人スキル」であるなど、社会問題にまで発展させてAKBを語りまくっている。
最終章では、自身も熱心に「推しメン」に票を投じた13年の選抜総選挙について触れている。
小林さんは市川美織さん、渡辺美優紀さん、渡辺麻友さん、大島優子さんなどの応援しているメンバーに「たくさん票を入れ」るため、「異常とわかっていて、ヲタ気分に浸るためと、『応援消費』のつもりで」大量にCD購入したという。余ったCDは、主催するイベント「ゴー宣道場」の参加者150人に3タイプずつ配ったほか、親戚の子やスタッフらにも渡して、「AKBの布教活動になった」と胸を張る。大量購入したCDを捨てるファンを批判し、「わしの大量購入は良い子の買い方だ。見習うべし!」とまで言ってのけた。
小林さんは美容外科「高須クリニック」名古屋院院長の高須幹弥氏が「渡辺麻友さんに大量投票する」という意思を表明した際、「熱心なファンの思いを削ぐようなことを、金持ちがやってはダメだ」「わしは『CDを身内に配れる数まで』という制限をブログで公表した。節度を守りながら、自分のAKB愛の深さを、面白がってもらおうとしているのだ」と、行き過ぎた大量投票を批判しつつ節度ある複数投票をすると宣言していた。
しかし150人に3タイプ配り、さらに親戚の子、スタッフにも…となると、少なくとも450枚以上、500枚前後のCDを購入したことになる。一般庶民の感覚で見ると、「節度ある」とは思えない量だ。
「AKBってアリ地獄で、一度嵌ったらぬけ出せない」
小林さんは13年6月のブログで、この本をもって「わしのAKBに関する一切の言論活動は終わる」「秋からは、次の重大な仕事に取りかかる」「来年の総選挙のときは、わしはライトな一ファンとして、メディアを通して見ることになろう」と書いていた。
このブログが「よしりんのヲタ卒宣言だ!」としてAKBファンらの間で話題になり、「残念」「せいせいする」などの声が上がっていた。
しかし新刊「AKB48論」は、これでキッパリ「ヲタ卒」できるとは到底思えない、AKB愛が詰まった内容だった。小林さん自身もあとがきで、「AKB48ってアリ地獄で、一度嵌ったらあっさり、きっぱりぬけ出すことはもんのすごく、むずかしい」「自分のブログで『ヲタ卒業』を宣言したら、全然、そうはいかない。メンバーまでがやめないでと言ってくれるから、それが社交辞令だとしても振り切るのは困難だ」と、「まだ卒業しない」という姿勢を示している。
さらに「恋愛禁止条例」が事実上崩壊してしまっている現状を受け、「言っておくが、わしは運営がスルーしても、『不純なアイドル』は認めない!AKBに大事な娘をあずける親にしたって、わしのようなファンが御意見番になっていた方が安心なのではないか?」と、まだまだAKBについて語っていく考えを明らかにした。