高橋洋一の自民党ウォッチ
出世競争から脱落しても「高給窓際」 「左遷不満訴訟」は役人の甘ったれ

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   ドラマ「半沢直樹」の最終回の平均視聴率が42.2%(関東地区)と、平成の民放ドラマでは歴代1位という驚異的な数字だった。このドラマの見所は多くあるが、銀行マンの出世競争の中で、「出向」が「左遷」を意味することは多くの人が知ったであろう。

   官僚の世界では、出世競争からの脱落はこれまで「天下り」だった。ラインから外れるという意味で「左遷」なのだが、その待遇が外から見ればおいしい。銀行の「出向」も官僚の「天下り」も、世間から見れば、失職しないだけ儲けものだ。世間ではリストラや首切りが簡単に行われる時代に、退職させられるわけでなく職場転換にすぎない。そんな大げさに騒ぐなと一言言いたいくらいだ。

「現役出向」という名の「偽装天下り」

   いずれにしても、官僚の「天下り」は目に余るので、従来の公務員改革では「天下り撲滅」がいわれてきた。これに対して、天下り斡旋禁止という抜本的な解を出したのが、2007年の第一次安倍政権の時に成立した改正国家公務員法だ。実は筆者、この法律の立案者の一人だ。ただ、天下り問題だけを解決しても、公務員制度全体としては未完だ。そこで、福田政権の時、当時の渡辺喜美行革担当相が奔走し、国家公務員改革基本法を与野党の壁を乗り越えて成立させた。

   ところが、その後、同法に基づく実定法は国会で成立せず、公務員制度改革は進まなかった。その中で、実定法改正がないまま、2010年4月、民主党鳩山政権の時、小手先の改革もどきを行った。

   ある年齢になると、幹部へ昇格か天下りという従来のコースを直し、(1)幹部への昇格、(2)現役出向(偽装天下り)、(3)専門スタッフ(ライン外し)にしたわけだ。(2)「現役出向」は酷かった。事実上役所外組織への天下りであるが、まだ籍が役所にあるという形式理由で、天下りでないと言い張った。それに比べると、「(3)専門スタッフ」は、役所内組織に留め置くので、第三者から見ればまだ筋がいい。ところが、「(2)現役出向」は、独立行政法人など役所の植民地だが役所外勤務なので、当人の左遷の屈辱感はまだ少ないが、「(3)専門スタッフ」は役所内勤務で、当人の不満は高まるようだ。

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