100%株主の独法に高利で貸し付ける
ここにも、さらにカラクリがある。独立行政法人の「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」が公表している「助成勘定」(12年4月1日~25年3月31日)によると、JR北海道は同機構に、この経営安定基金の多くを貸し付けている。この公表資料から読み取れる限りでは、残高は12年4月1日時点で2415億円。平均利率は3.73%にのぼる。同機構が民間から借り入ている利率は1.38%~1.5%なので、明らかな特別待遇だ。事実上の国庫負担だとも言える。また、同機構はJR北海道の株式を100%保有している。
JR北海道の13年度の事業計画を見ると、「鉄道輸送に関する計画」の「基本的方針」は、
「道内人口の減少や高速道路の延伸などにより都市間輸送は減少傾向にあるものの、お客様のご利用が好調な札幌都市圏を中心に利便性・快適性の向上の取り組むこととする」
とある。都市圏に経営資源を投入したい考えだが、札幌都市圏も人口の伸びはほぼ頭打ちで、成長を見込むのは難しい。
そうなると、航空業界と同様に視野に入ってくるのが不採算路線の廃止だ。例えば江差線木古内~江差間(42.1キロ)は14年5月の廃止が決まっている。