半沢直樹の「出向」は左遷、降格? 銀行に戻って役員になる可能性はないのか

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大半は50歳前後に「片道切符」で取引先や子会社へ

   現役銀行員からは、出向は決して「左遷」ではないとの反発が出ているようだ。「週刊プレイボーイ」9月30日号には、「役員になる一部の人間を除くほとんどの人間がいずれは出向する運命。特別なことではないのにドラマの中では『出向=地獄行き』のように描かれてしまっているのに腹が立つ」との行員のぼやきが載っている。

   実際、銀行での出向は珍しいことではないようだ。「週刊ダイヤモンド」9月21日号の特集記事によると、銀行では50歳ごろに同期トップが役員に就任すると、他の同期が銀行本体から出ていくことが業界の慣例になっている、という。大半の銀行員は40代後半から52歳ごろまでに取引先や銀行の子会社に「片道切符」で出向させられるそうだ。

   しかもバブル経済当時と比べて大手銀行の数は大きく減った。メガバンク各行は、統合によって大勢の「バブル入行組」を抱える一方、彼らのポストも激減している。今のままでは、50代に差し掛かりつつあるこの世代の出向先が足りなくなる、との懸念もあるという。

   ドラマの原作となった池井戸潤氏の小説「オレたちバブル入行組」には、半沢が就職活動で内定を勝ち取ったのは1988年となっており、入行は89年との設定になる。こうなると2013年時点での年齢は46、7歳あたりといったところか。前出の大関氏の「推論」を当てはめると、一般的な出向とは別扱いで、外で数年間「修行」したのちに本体へ舞い戻り、同期の中で真っ先に役員の椅子を勝ち取るというシナリオがあり得そうだ。

   半面、取締役会で常務を土下座までさせた半沢は「危険人物」であり、これまでも敵対する上司や同僚に「倍返し」を続けてきた所業が「人事ファイル」に書き込まれているだろうと指摘する。こうなると、「現職役員が推薦方式で候補を選出しトップが最終判断する取締役への昇格は難しいのではないか」。すると役員や頭取の道は断たれ、部長職で銀行員人生を終えることになる――。

   架空の世界の人事とはいえ、これだけ大まじめに論じられるのも平成の民放ドラマで最高の視聴率を出した大ヒットゆえか。意味深なエンディングに、続編への期待は膨らんでおり、出向先での半沢の活躍を描くシリーズがテレビで見られる日は遠くないかもしれない。

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