アピール力の強さが合格率押し上げた?
この傾向について、市の任用調査部では「特段の分析はしていない」と話すが、府の人事委員会では二つの可能性を挙げた。ひとつが、試験方式の変更だ。
従来、市も府も、1次試験の択一式問題には、内閣府の外郭団体「日本人事試験研究センター」(東京都)が作成した試験問題を使用してきた。だが、大阪府知事を経て大阪市長を務める橋下徹氏が、天下り批判を背景に府知事時代の10年に年会費170万円の支払いを拒否。そのため、自前の試験を余儀なくされた。
このため、府は11年度から市は12年度から新方式に切り替えた。市も府も3次試験まであり、いずれも1次試験でエントリーシート(ES)、小論文を評価し、2~3次試験では論文、グループワーク、面接、適性試験を行う。
13年度の府のエントリーシートでは
「あなたが大阪府職員を志望した理由を具体的に教えてください。また、大阪府職員としてぜひとも取り組んでみたいことを一つあげ、その理由とあわせて説明してください」
といった4項目を記入する仕組みになっており、「人物重視」をうたっている。
前出の合格率の推移を見ると、府は11年度から市は12年度を境に合格率が大きく伸びており、女性のアピール力の強さが合格率を押し上げた可能性もある。
もうひとつの可能性が、試験方式と同時に募集人数が変わった点が影響しているのではないか、という点だ。府が旧試験を行っていた10年度は15名程度しか募集していなかったのに対して、新試験に移行した11年度には30名を募集している。12、13年度は65人と倍増している。府では、団塊世代の大量退職に備えた措置だと説明している。
市も同様で、旧試験の11年度は22歳から32歳を対象に30人を募集したのに対して、新試験の12年度は22歳から25歳を対象に65人を募集している。13年度は55人募集した。門戸が広がった分、何らかの原因で女性の合格率が上がった可能性があるということらしいが、それ以上のことははっきりしない。