次男の逮捕によりテレビの情報番組出演を自粛しているみのもんたさんが、レギュラーを務めるラジオ番組に復帰した。記者会見では涙ぐむ場面もあったが、自身のホームグラウンドに帰ってきたためか、舌も滑らかだ。
一連の騒動について、31歳で所帯を持っている息子の責任を親がとるべきとの声に「多くの海外の友人から『日本はおかしい』と言われた」と主張。テレビや週刊誌への批判を交え、引退報道などどこ吹く風だった。
自宅前を張り込む記者に「おしめでも用意しようか」
冒頭から独演会だった。2013年9月21日に放送された文化放送「みのもんたのウィークエンドをつかまえろ」に生出演、いきなり「南無妙法蓮華経」とお経を唱えて「本題」に入った。
次男逮捕や自宅前での謝罪会見などを報じるテレビ番組を録画して見たという。コメントをしていた多くの人に対して「もしあなたが私の立場ならどうなのかな、と思いながらお話になった方がいいと思いました」とチクリ。さらに、「私は海外に大勢友達がいるのですが」と前置きして、「おかしいね日本は、と言われました」。次男はすでに30歳を過ぎて自立した存在なのだから、いくら親だからといって自分が責任を問われる筋合いはない、というわけだ。
事実みのさんは、TBSの「朝ズバッ!」などを降板するつもりはなく、続けてもいいと思っていたという。ただ番組プロデューサーに「公明正大な報道ができるか」を問われた時、次男の件は「どうしても身びいきになる」として自粛を決めたと説明した。
次男の過去を報じた週刊誌を「いじめに近い、誹謗中傷」と非難。一方で自宅周辺に待機する報道陣には、「私も同じような世界に身を置いているので、ある意味同情した」そうだ。暑さの中何時間も「張り込み」を続け、近くには公衆便所もない場所。「玄関におしめでも置いて、飲み物でも用意してあげようか」と「みの節」を炸裂させる。さらに「今日の番組は、業界の方たちが99%聞いてくれている、うれしいじゃないですか」と皮肉交じりに話して、「今日、文化放送までヘリコプターで来て、パラシュートで屋上に降りてスタジオに入った」ととぼけてみせた。放送局に大勢の記者が詰めかけていたようで、「何を取材しにきたか分からないんですけどね」とくさした。
次男の不祥事よりも「セクハラ騒動」に嫌悪感
みのさん本人は、「自分が悪いことをしたわけではない」と自身の責任論を否定する。だが周囲は収まらない。「週刊現代」10月5日号では、成人した子どもの不始末を親がどこまで負うべきか、みのさんのケースを論じている。
作家の佐藤愛子氏は、親に非はないとの意見だ。「31歳になった子どもなんて、何をしているか親には分からないでしょう」とし、みのさんの主張を支持する。評論家の呉智英氏は、もし責任を負う必要がないと考えるなら「報道番組だろうと、バラエティ番組だろうと出演自粛などしなければいい」と語る。金美齢氏の場合、基本的には成人した子ども自身に責任があるとしながらも、子どもの「自立」が「本当に自分の足で立ったのか、それとも親のコネや七光りだったのか」によって親の責任の度合いも変わると考える。仮に有名人が縁故で子どもをテレビ局などに送り込んだとすれば「法律的な責任はなくても、道義的な責任はあるのではないでしょうか」との指摘だ。
ジャーナリストの大谷昭宏氏は、「親が責任をとる必要などない」との立場だが、報道機関やテレビでさまざまなコメントをしている人は別だという。自分の考えを発表して世間に何らかの影響を与える「公人」と考えられるからだ。
ツイッターをはじめインターネット上で比較的多くみられたのは、これまで番組内で不祥事を起こした人や企業を「たたく側」だったみのさんが、自分が逆の立場になったら開き直るのか、という批判だ。これは「週刊現代」で大谷氏が指摘していることと関連する。息子の不始末がその後の発言に影響しないとは言い切れず、「いくら、自分は公正中立だと言ったところで、自分の私生活と関わってくれば、なかなか公正な報道ってできない」というわけだ。
だが「引退」を迫る声で意外と多いのは、今回とは別件でみのさんに「責任」を問うものだ。次男逮捕の前に起きた「セクハラ騒動」。8月30日の「朝ズバッ!」の放送終了間際、女子アナウンサーの尻のあたりに手を伸ばして振り払われる映像が流れた。TBSは「セクハラがあったとは認識していない」とコメントしたが、ネット上では今も釈然としない人が多い。