「理財商品」はサブプライムに似ている
一方、貸出債権を小口化した「理財商品」について、日本アジア総合研究所は「中国の新たなリスク」と指摘する。中国・銀行業監督管理委員会によると、理財商品の2013年3月末の残高は8兆2000億円にものぼる。中国の12年の名目GDPの約16%、人民元預金の約12%に相当するところまで膨らんだ。
前出の富士通総研の主任研究員、柯隆氏は、「理財商品は投資家側のリスクによる投資であり、銀行にとってはオフバランスのビジネス。これまで金融監督当局も見て見ぬふりをしてきた」(週刊エコノミスト)という。
「信託商品」と同様、「理財商品」に投資していた個人や企業も、運用先のプロジェクトが破たんすれば投資資金は戻らない可能性がある。貸出債権の一部を証券化して個人に販売するような仕組みは、米サブプライムローンと似ているので、「中国版サブプライム」と揶揄する向きもある。
ニューズウイーク日本版は、「急成長する『影の銀行』は中国経済の潤滑油の役割も果たしているが、このままでは米国のサブプライムと同じ運命をたどりかねない」と指摘する。