「10年前とは全く違う」
市進学院情報出版室の長谷川室長は、名門都立の現状について「実績も学校内の雰囲気も10年前とは全く違いますね」と話す。重点校指定だけでなく、人事考課制度により教員が成果で評価されるようになったことや、学校間で「あそこには負けたくない」という競争原理が働いていることも貢献していると指摘する。各校では企業さながらの「経営計画」を作成し、年度末には自己評価まで行っている。
もちろん開成や筑波大学附属駒場などの名門国立・私立と比べると、難関大合格実績や偏差値には未だ開きがある。しかし、人気ぶりではひけを取らない。その理由について、長谷川氏は「公立の授業料無償制は、リーマン・ショック以降の不景気とも重なり、都立人気に拍車をかけたことは間違いないでしょう。説明会を増やすなど各校が広報活動を強化したこと、雑誌が度々『都立復活』を取り上げたことで、イメージも向上しています。」と説明した。生徒も通っている先輩たちから話を聞いて好印象を持つケースが多いという。インターネット上の掲示板でも、開成と日比谷に受かった上で、日比谷を選んだという卒業生・在校生の声も複数見つかる。
なお最近では、白鴎高校や両国高校などの「都立中高一貫校」、新宿高校や国際高校など「進学指導特別推進校」の成長もめざましく、人気も好調だ。