13年中に廃炉費用を利用者に転嫁できるようになる
会見で指摘されているように、財政面の壁も立ちはだかる。設備の減価償却が終わっていない上、廃炉の引当金も不足している。現時点で廃炉を決めれば東電は少なくとも1800億円の損失処理を迫られる。
ただ、経産省は13年夏、廃炉決定後も10年間は廃炉金の積み立てと設備の減価償却を認め、その費用を電気料金に転嫁できるようにする会計制度を打ち出している。この制度は年内にも導入される見通しで、廃炉費用は利用者が負担する形になる。
安倍首相としては事故現場で「地元の声」に応える様子をアピールする一方、制度面の地ならしができたこともあって、このタイミングで廃炉要請に踏み切った可能性がある。
東電は
「今後、関係者の英知を集め、年末までに取り扱いを判断してまいります」
とのコメントを出している。