選手会からも三行半を突きつけられ
「私は野球通」と大見得を切って就任した加藤コミッショナー。それがボールという技術者の聖域に手を突っ込んだ。駐米大使だったからか、何事にも米国に並びたいとの思いが強かった。
たとえばWBC参加も選手会そっちのけで参加を決めて大モメになったことは記憶に新しい。巨人-阪神を米国で開幕試合を、などとぶち上げ、選手会から「何を考えているのか」と相手にもされなかった。そしてボール問題の体たらくである。
選手会から「辞任しろ」と突きつけられる前代未聞の事態にまで発展。この日の辞任表明を受けて嶋選手会長は「次のコミッショナーは球界を良くする方向に導いてくれる方を選んでほしい」とコメントを出した。加藤コミッショナーは役立たずだった、と聞こえる内容だが、これはコミッショナーだけでなくオーナーに対しても、しっかりしてくれよ、とボールを投げたというべきだろう。
コミッショナーは2代続けて任期半ばでの退場である。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)