カリスマホスト経営者の失踪の理由 業務用パイプクリーナーで遺体溶かした?

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   東京都八王子市のホストクラブ経営者、土田正道さん(当時43歳)が失踪した事件で、警視庁は2013年9月19日までに元共同経営者の玄地栄一郎容疑者(31)、元従業員の阿部卓也容疑者(28)ら5人を死体損壊・遺棄容疑で逮捕した。八王子市の容疑者の自宅から顔の骨の一部と、土田さんのインプラント(人口歯根)が見つかった。警視庁は、容疑者らが土田さんの遺体を薬品で溶かし、下水に流したとみて捜査を進めている。

インプラントから土田さんと断定

   日本テレビ系の「スッキリ!!」などによると、失踪している土田さんは都内にホストクラブを経営し、テレビにも出演するなどカリスマホストとして知られていた。ところが2010年11月25日朝、妻に「仕事に行ってくる」と言い残し自宅を出て、同日午後1時ごろにホストクラブ近くの駐車場の防犯カメラに映ったのを最後に失踪していた。周囲に以前から「いなくなったら殺されたと思ってくれ」などと話していたという。

   今回逮捕された玄地容疑者と阿部容疑者は2012年7月、土田さんの携帯電話を壊して東京・檜原村に捨てたとして、器物損壊容疑で逮捕・起訴され、執行猶予付き判決を受けていた。しかし、土田さんの行方については「知らない」と説明しており、土田さんの失踪の捜査は難航していた。

   その後、警視庁の捜査員のもとに、阿部容疑者の実家に死体が持ち込まれたという情報が寄せられ、事態が急展開した。警視庁は2013年4月、八王子市内の阿部容疑者の父親が住んでいる住宅を捜索し、業者を使ってトイレや風呂、汚水槽を調べた結果、人の顔の骨の一部とインプラントが見つかった。骨の状態が悪くDNA照合ができなかったが、インプラントはメーカーと型を特定し、追跡調査で流通している600個のうち599個の所在を確認した。残る1つを土田さんのものと断定した。

   土田さんと容疑者らの間には、売上金などをめぐる金銭トラブルが発生した可能性があると見られている。死体遺棄損壊の時効は3年のため、警視庁はぎりぎりのタイミングで逮捕に踏み切った形だ。

業務用パイプクリーナーは水酸化ナトリウム濃度95%

   汚水槽からインプラントや人骨の一部が見つかったということは、遺体を何らかの手段で小さく分解して下水に流したとも考えられる。読売新聞などの報道によると、パイプにつまった毛髪を溶かす作用などがある業務用の薬剤を使い、風呂場で土田さんの遺体を溶かした可能性がある。

   パイプを洗浄する薬剤は通常、人の油や石鹸などの付着で発生したぬめり、毛髪をとるために使われる。配水管洗浄を請け負う企業のサイトの説明では、家庭用の苛性ソーダ系パイプクリーナーは濃度が0.5~1%程度なのに対して、業務用の苛性ソーダ系パイプクリーナーは95%程度と高濃度だ。水酸化ナトリウムの濃度が高いものは皮膚の腐食・有機物の分解能力に優れ、多くは医薬用外劇物に指定されていているという。ちなみにインプラントで主に使われるチタンは、水酸化ナトリウムに強い耐性がある。

   過去に発生した類似の失踪事件といえば、「江東マンション神隠し殺人事件」だ。加害者の男が被害女性の身体を包丁とのこぎりでバラバラに切断し、トイレに流したりゴミとして捨てたりしていた。加害者のマンション近くの下水道から骨片が発見され、DNA鑑定で被害者のものと判明したという経緯がある。

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