勘違いしたのは日本のせいだと言わんばかり
実は問題の記事は、仏AFP通信の報道を元ネタにしている。そのAFPは、日経新聞の18日朝刊記事を紹介し、ほぼそのまま引用翻訳したものだ。
そしてこの日経記事だが、「慰安婦のための基金」とはどこにも書かれていない。資金の拠出先は上記ICCによる「被害者信託基金」で、対象となるのは元慰安婦ではなく、コンゴやウガンダなど、アフリカの紛争地帯で性暴力に巻き込まれた女性たちだ。女性の人権救済に取り組むことで、慰安婦問題で悪化したイメージの改善を図ることが狙いとされており、直接的に元慰安婦への支援を目的としたものではない。こうした性被害女性支援への参加はすでに複数紙が報じている。
この日経報道がAFPに紹介される際に「慰安婦」に関する部分がやや強調され、さらにニュース1が勇み足気味に孫引きしたことで、「安倍基金」という話になってしまったようだ。
ニュース1は翌19日、再度この問題を取り扱ったが、そこでは慰安婦支援団体代表による、
「これは元慰安婦女性のための基金ではない」
との発言を掲載し、事実上前日の記事を撤回した。一方で「性被害者への基金を作るといいながら、肝心の『慰安婦』を避けようとしている」と批判するなど、まるで日本のせいで勘違いした、と言わんばかりの態度を取っている。