専用メガネ不要、「ながら視聴」できるのが違い
4Kテレビ同様、3年ほど前に華々しく「デビュー」したデジタル家電がある。3Dテレビだ。立体映像を取り入れた映画が人気を集めたのを契機に登場し、国際家電見本市でも注目度は高かった。電機メーカーはこぞって新製品を開発、発売したものの、話題性の割には消費者が飛びつかず、ヒット商品とはならなかった。4Kテレビは、このときの二の舞になる心配はないだろうか。
道越氏が言及したのは、3Dテレビで用いられる「専用メガネ」だ。テレビは、何か別の作業をしながら楽しむ視聴スタイルが多い。いちいちメガネをかけたり、テレビの前にじっと座って見なければならなかったりと視聴者に一種の負担を強いるのが、現行の3Dテレビが伸び悩んでいる原因とみる。また3D映像を映し出す受像機としての完成度が高いとは言えず、技術的な改良にもう少し時間が必要だとも指摘した。これに対して4Kの高精細な画質は、むしろ3Dに近いイメージをも再現するほどきめ細かだと評価する。従来のテレビと同じように「ながら視聴」できるため、普及へのハードルは3Dテレビより低そうだ。
ソニーをはじめテレビ事業で不振が続いていた国内メーカーにとっては、4Kテレビを起爆剤に攻勢に出たいところだ。だが海外勢、特に中国メーカーの参入で価格破壊が起きればあっという間に製品は陳腐化し、消耗戦となる。従来型の薄型テレビでの競争のように「いつか来た道」をたどる恐れが高い。道越氏はこの点を認めつつも、消費者の購入時の優先順位が低価格品から、高額でも価値の高い製品に移ってきていることを踏まえると、国内メーカーは安売り合戦を避けて、品質や付加価値といった部分で勝機を見いだすことができるのではないかと述べた。