日本航空(JAL)の植木義晴社長は2013年9月18日の定例会見で、10年の経営破綻にともなって撤退した地方路線の一部を順次復活する方針を明らかにした。
再上場から1年が経つのを直前に控え、高い収益力を背景に「本業の航空事業を通して社会貢献したい」と復活に踏み切った。13年4月から倍増する羽田空港の昼間の発着枠については、「均等配分が(経済効果の)最大化につながる」と、傾斜配分を求める全日空(ANA)の主張に反論した。
債務超過のHACも再連結化の方向
JALは経営破綻前後の09年度~10年度にかけて国内線から50路線を運休し、8地点から撤退している。事業規模にして3割縮小している。そのうちのかなりの割合が不採算だったとされ、撤退で収益構造が大幅に改善したものの、地方からは路線復活を求める声が相次いでいた。
植木社長の説明によると、「現在の当社のコスト水準や、各種補助に関する制度を踏まえ、改めて各路線の採算性を検証する」ことを前提にした上で、他社がJALの代わりに乗り入れるなどの代替手段がとられていない路線から14年度以降、順次復活させる。
また、経営破綻を機に連結対象から外れ、現在は北海道が筆頭株主の北海道エアシステム(HAC)の再連結化も視野に入れる。HACは13年3月末時点で1億1600万円の債務超過に陥っており、経営支援の色合いが濃いが、植木社長は
「3年半で培ってきたノウハウを活用すれば、必ず黒字化できる」
と強調した。
羽田発着枠にらんだ政府、自民党への配慮は否定
羽田国際線の発着枠については、
「(発着枠は)国民のより重要な財産だととらえており、この経済効果の最大化をにらんだ場合、各路線ごとに(JALとANAに)均等に配分されることが最大化につながる」
と主張、均等配分を求めた。また、ANAが発着枠の傾斜配分でJALとの経営環境の格差の是正を求めていることについては、
「こういった(減価償却費の軽減効果といった、会社)更生法適用による効果を、もし(「格差」や「競争環境のゆがみ」だと)仰っているのであれば、これは法律に基づいてやってきたもの。これは有期限のものではり、いずれはなくなっていく。そういったレベルのものと、今回の国際線の枠配分は恒久的なもの。同じ観点で論ずるべき話題ではない」
と反論した。
また、発着枠を得ることを目的に自民党、政府、国交省に配慮し地方路線の復活を決めたとの見方については、
「国際線の発着枠、地方路線、HACは、全く私は切り離して考えている」
と否定した。