中国・人民日報も取り上げる時の人に
厳さんの本国・中国でも、このニュースは大きな話題になった。中国共産党の機関紙・人民日報や国営通信社・中新社を始め、多くの現地メディアがこの話題を掲載、中には、わざわざCGによる「再現VTR」をつけたところさえある。登場人物の髪がフサフサで、坊主頭の厳さんにさっぱり似ていないのはご愛敬だ。
また中国側では厳さんの勇敢な行動はもちろんのこと、日本での暖かい反応も驚きだったらしい。人民日報などが「日本ネットでは『英雄』との声も上がっている」と紹介したのを始め、各紙がその反響の大きさに少なからず言及する。日中関係の「恩讐」を超え日本側が素直に厳さんを評価したことは、かなり好印象を与えたと見られる。
日本に対する強硬な主張を展開し、中国における「反日」の急先鋒的存在の人民日報系メディア・環球時報でさえ、記者の見解として、
「現在日中関係は、釣魚島(尖閣諸島)や歴史問題で悪化が続いている。日本のメディアでは中国のマイナス面が伝えられることが多く、中国や中国人への印象は悪くなる一方だった。厳俊さんの業績は、この状況を改善する好材料になるだろう」
との論評を掲載した。環球時報がこうした論評を掲載することは異例で、その感激ぶりがうかがえる。