無料通話アプリを通じ、わいせつ事件に巻き込まれる児童が急増する中、警察庁がアプリ運営会社に「18歳未満の利用者がIDを使えないようにするなど対策の強化を要請する」と一部報道で伝えられた。
インターネット上では、「ついに18歳未満は利用できなくなるのか」と騒ぎになった。無料通話アプリ大手「LINE」「カカオトーク」の2社は、そういった対策をとることはないと否定している。
被害者数、半年で昨年1年の約3倍に拡大
「LINE(ライン)」「カカオトーク」に代表される無料通話・メッセージアプリは、若者たちのコミュニケーションツールとして定着している。もともとは、仲間うちで会話を楽しむサービスとして人気を集めた。しかし1年ほど前から、個人IDをインターネット上に公開し、「出会い」目的で交換するケースが多発。警察庁のまとめによると、2013年1~6月の被害児童数は117人にのぼった。12年1年間の36人のおよそ3倍となり、被害者が急増していることが分かる。なお、117人のうち82人は「LINE」、24人は「カカオトーク」を使用していた。
警察庁では、無料通話アプリを含むコミュニティサイトの被害対策を推進している。具体的には、ミニメールの内容確認などサイト内監視体制の強化と、サイト事業者等に対し、悪意ある大人が児童に近づけなくなるようゾーニングの早期導入を働きかけるとした。
このニュースはマスコミ各社が報じたが、インターネット上ではNHKのニュースに注目が集まった。2013年9月12日のWEBニュースをみてみると、警察庁がアプリの運営会社に「18歳未満の利用者がIDを使えないようにするなど対策の強化を要請することにしています」とある。これを受け、ユーザーから「18歳未満はLINE使えなくなるの!?」という声が相次いだのだ。
LINE「18歳未満の利用制限、今後もしない」
「LINE」広報担当者はJ-CASTニュースの取材に対し、この措置を否定。「今後もそういった制限をかけることはありません」と回答した。警察庁からもそういった要請は来ていないという。
18歳未満の利用禁止を巡っては、過去にも騒動になったことがある。原因は、18歳未満のユーザーに対する「ID検索機能」の制限だ。LINEでは12年12月からauのAndroid端末に導入しているが、13年7月に全キャリアへの導入を発表した際、誤解したユーザーたちの間で大騒ぎになった。
同担当者は、今回の騒ぎについても「ID検索が使えなくなることと誤解されてしまったのかもしれません」と話す。ID検索機能制限は9月末以降docomoに適応する予定で、Softbankでも準備を進めているという。ほかにも同社では、ID交換の場となっている非公式掲示板やアプリに対し、引き続きサービス停止を要請していく。
同じく「カカオトーク」でも被害拡大を防ぐため、ユーザーへの呼びかけ、非公式掲示板へのサービス停止要請を行っている。新たな対策を講じる予定は今のところないそうだ。制限により、健全なユーザーへのサービスに影響が及ぶことを懸念している。それでも「あまり被害が拡大すれば、新たな対策を検討せざるを得ない」(広報担当者)という。