ツイッターなど飲食店のアルバイト学生などが不適切な画像をアップロードして店の信用を落とす「バカッター」と呼ばれる問題が相次いでいるが、書き込みを特に問題視していない学生が1割にのぼることが流通専門紙の調査で明らかになった。
ネット特有の問題というよりは、従業員の根本的なモラルの問題が背景にあるとの見方もある。大半の学生は、書き込みを問題だと感じているようだが、この「1割」に当たる層が取り返しのつかない結果を引き起こしているようだ。
4分の3は「あってはならないことだと感じる」と回答している
2013年9月11日付けの日経流通新聞(MJ)では、いわゆる「バカッター」について特集している。MJが楽天リサーチの協力を得て全国の大学生と専門学校生200人に対して、一連の悪ふざけ写真の投稿について聞いたところ、4分の3が「あってはならないことだと感じる」と回答。反面、「面白い」が2%、「騒ぐほどの問題ではない」が9%と、1割以上が容認姿勢を見せた。
この1割の層は、自らの行為が全世界につながっていることを認識する能力を持つことができていないとみられ、単なる「ネット上の騒ぎ」以上に根深い問題がある可能性もある。例えば、ツイッターをめぐる炎上騒動に見舞われた東京都多摩市のそば店「泰尚」では、かなり以前からアルバイトに関するモラルやマナーの問題を抱えていた。
この店では、8月9日にアルバイトの男性が大型食器洗い機に足を入れて横たわる写真をツイッターにアップロードして「炎上」した。
この店の「食べログ」のページからは、根深い問題がうかがえる。06年12月から13年4月にかけて10件の口コミが寄せられているが、そのうち3件にアルバイトへの苦情が含まれていた。
炎上した店舗の「食べログ」にはバイトへの苦情も
「店員のバイトの子もあまり慣れていないみたいで、手際は決してよくなかったです」
という声はまだ穏やかな方で、別の利用者からは、
「あまりにもマナーがなっていないところばかりが目につきます。まず、前の客が使用していたテーブルを片付ける時すぐ横に待っている客が(私たちですが)いるのに『洗い物しないと』とか『忙しすぎる』とか、愚痴をこぼさないでほしいです。また、席に着いた後も、ずっと放ったらかしです」
とも。さらに別の利用者は、
「私のセットがカウンターに出されているのに、それより後のお客の注文を受け放置。のびやしないかとひやひやしました。案の定のびていました」
と、手際の悪さに不満を爆発させていた。利用者の前でもこれだけ悪い印象を与えているということは、厨房でも問題行動を起こしている可能性が高いともいえ、それがツイッターを通じて一気に顕在化したとみられる。
この店はウェブサイトを開設しておらず、炎上を把握するのが遅れた可能性もある。9月10日時点で店の壁には、
「閉店 この度、一部の従業員達(多摩大学学生)による不衛生な行為により営業を停止させて頂く事になりました。皆様には深くおわび申し上げると共に永きに渡りご愛顧頂きまして本当にありがとうございました」
という紙が張られている。この店は大手チェーンに属しておらず個人経営に近く、無念の閉店宣言となった。
また、アルバイトがソーセージをくわえた写真をツイッターに投稿して問題になった「丸源ラーメン」を運営する物語コーポレーションでは、8月7日の発表で、同社の反省点として
「従業員の窃盗行為を防ぐべく教育体制や仕組みを持てなかったこと、SNSの正しい使い方を教育・徹底出来なかったこと」
を挙げており、やはり従業員のモラルの問題を重く受け止めているようだ。再発防止策として(1)再発防止を訴える社長ビデオメッセージの配信(2)全従業員からコンプライアンスに関する誓約書をとる(3)衛生教育などの再徹底などを挙げている。