現経営陣はフジテレビの黄金期を支えた人たち
芸能評論家の比留間正明氏は、「いまのフジテレビは視聴者を見ていない」と手厳しい。そして、こう分析する。
「フジの現体制は日枝(久フジ・メディアHD)会長、フジテレビの亀山(千広)社長、フジ・メディアHDの太田(英明)社長と、フジテレビの黄金期を支えた人たちです。その人たちがトップにいて、いろいろと指示することで現場の人たちが萎縮。上司の顔色ばかりをうかがって仕事をするようになってしまっています。つまり、誰も視聴者を見ていないんです」
それはドラマづくりにも言え、タレントや所属事務所を慮ったり、プロデューサーが細部に口をはさんだり、「なにが大事なのか、忘れている」と指摘する。
フジテレビは放送事業の減収を、「BRAVE HEARTS海猿」や「踊る大捜査線 THE FINAL」などの映画の大ヒットが補っているが、比留間氏は「映画は観る人がお金を払って観るので、タレント重視でもヒットします。しかし、テレビドラマはやはり台本であり、演出であり、それに応えられる俳優陣を重視すべきなんです」と説明する。
一方、文藝春秋2013年10月号は「フジテレビはなぜダメになったのか」と題してフジテレビのドン、日枝久会長をノンフィクションライターの森功氏が独占インタビューしている。その中で、視聴率低迷の要因を芸能プロダクションとの付き合いを大事にしすぎて斬新なタレント起用ができていないのではないか、と聞いている。
これに対し、日枝会長は「その指摘はちょっと短絡的すぎる。エンターテイメントの世界は、そんなに甘くない」と答えている。
記事の中で森氏は、フジサンケイグループの中核はフジテレビだが、6300億円という連結売り上げのうち約2800億円がテレビ事業以外から生み出されており、同グループにはテレビ以外の強みがあることも指摘している。