武蔵大学(東京都練馬区)が2013年2月に行った「日本史B」の入試問題で出題ミスがあり、合格発表から半年以上経って5人の受験生を追加合格にした。
太平洋戦争の終結から朝鮮戦争の休戦までに起きた出来事について回答させる問題だったが、入試問題では「朝鮮戦争の終結」と表記。朝鮮戦争は正式には終結していないため、大学側は外部からの指摘に出題ミスを認めた。
外部からの指摘で誤りが発覚
出題ミスがあったのは、経営学部経営学科と人文学部英語英米文化学科の選択科目として行われた「日本史B」の試験。13年2月6日に行われ、427人が受験。合格発表は2月17日に行われた。
問題文には、
「太平洋戦争の終結から朝鮮戦争の終結までの時期におきた東西陣営の緊張を示す出来事として、明らかな誤りを含むものを、次の(1)~(4)から1つ選べ」
とあり、選択肢としてソ連による東欧諸国の衛星国化(1940年代後半)、北大西洋条約機構(NATO)の結成(1949年)、中華人民共和国の建国(1949年)、第五福竜丸被爆事件(1954年)の4つが示された。太平洋戦争の終結を1945年、朝鮮戦争の終結を1953年だとすれば、正解は第五福竜丸被爆事件だということになる。
だが、入試の出題ミスや参考書の誤記・誤植を指摘している「全国入試問題研究会」(福岡市)では、8月上旬にこの設問の問題点を大学側に指摘した。(1)1952年のサンフランシスコ平和条約発効をもって「太平洋戦争の終結」と解釈することもできる(2)1953年に結ばれたのは休戦協定に過ぎず、未だに「朝鮮戦争の終結」には至っていない、というのがその内容だ。
追加合格になった5人中2~3人が入学の意向示す
指摘を受けて大学側は調査を開始し、影響を受けた受験生への説明や謝罪をすませた上で、経緯を9月6日になってウェブサイトで公表した。掲載された文章では、
「多くの受験生ならびに関係者の皆様に多大なご迷惑をおかけしたことを心よりお詫び申し上げます」
と陳謝している。
「日本史B」は150点満点で、該当の設問の配点は4.5点。受験者全員を正解にした結果、新たに合格基準に達した5人が追加合格になった。武蔵大学広報室によると、5人中2~3人が入学の意向を示しているという。
「全国入試問題研究会」のウェブサイトによると、同様の出題ミスは06年に青山学院大学国際政治経済学部でも起きており、やはり朝鮮戦争について「終わった」と記述していた。試験は06年2月18日に行われ、受験生からの指摘で出題ミスが発覚。該当問題を全員正解にすることを2月22日に発表した。合格発表は2日後の2月24日だったため、後日追加合格者を出すなどの対応は避けられた。