JALは「消費者利便向上」根拠に均等配分要求
一方のJALは、
「従来通り、消費者利便向上のため均等に配分されるのが妥当と考えています」(広報部)
と「消費者利便向上」を根拠に10枠程度の配分を求めている。
羽田空港国際化の恩恵のひとつが、国内線と国際線のスムーズな乗り継ぎだ。具体的には「地方空港→羽田→海外」と、地方在住者にとって海外へのアクセスが向上していることが大きい。国内線にはJALかANAのどちらか1社しか就航していない路線も多く、仮にANAが今回の増枠分を独占した場合、地方からのJALの乗客にとっては(1)羽田でチェックインをやり直す必要があり、荷物の扱いが不便(2)国際線と国内線のチケットを別々に買う必要があり、いわば「初乗り」運賃を2社に払うことになるので割高になる、といった事態も予想される。JALが主張する「消費者利便」というのは、こういった点を指しているようだ。
現時点で8か国との交渉がまとまっているが、40枠のうち利用が決まっているのは27枠のみ。多数の割り当てが予定されている米国路線の交渉が難航しているためだ。これは、JALがアメリカン航空、ANAがユナイテッド航空とそれぞれ提携しているのに対して、日本で提携航空会社を持たないデルタ航空が単独で25枠を要求しており、米国内で調整に手間取っていることが背景にある。
そうは言っても、14年3月末に始まる「2014年夏ダイヤ」は、世界航空運送協会(IATA)で10月中旬にも調整が始まる。それまでに世界中の航空会社は路線計画をIATAに連絡する必要があり、残された時間は少ない。にもかかわらず、国土交通省は枠の配分方針やスケジュールについては「まだ決まっていない」と話している。
JALは国内線枠での経験からか、IATAが調整を始める直前になって、国交省がANAに有利な配分をするのではないかという警戒感を強めているようだ。