「いつでも解約できる」と言われたのに…
こうした場合、景品の返還を完全に拒むことは簡単ではない。国民生活センターは、高齢者の場合、病気など止むを得ない理由で新聞の購読が続けられなくなる可能性があることから、長期の契約や「先付け」契約は避けるよう求める一方、新聞側にはこうした止むを得ないケースでの解約について整理・周知を徹底するよう求めている。
契約に当たり、勧誘側が不正確な説明を行う場合もある。中国地方の高齢男性は、「いつでも解約できる」と言われD新聞を契約したが、転居に伴い解約しようとすると、
「あと2年の契約が残っている。2年分の新聞購読料約10万円を支払わなければ、解約できない」
と凄まれたという。また九州北部の80歳代女性は、「1か月」との約束で契約期間が白紙のままの購読契約書にサインしたところ、勝手に「3年間」と書き込まれてしまった。さらには、「アンケート用紙だ」といわれて署名したところ、実は契約書だったという事例も報告されている。
これらの実例を見ても、目立つのは契約者が高齢の場合だ。国民生活センターの調べでも、相談を持ち込む契約者の平均年齢は61.7歳と、2003年の41.7歳から20歳も上昇した。
日本新聞協会も2012年のレポートの中で「70歳以上の読者の動向」に一節を割くなど、「若者の新聞離れ」と読者の「高齢化」は着実に進行する。今回の国民生活センターのデータからは、新聞業会が高齢者への売り込みを強化し、その一部がトラブルに発展している実態がうかがえる。
なお新聞協会では今回の要望に対し、「19日に会合を開き、要望書を元に検討を行う」としている。