「日本企業にしか作れないもの」を重点的に売る 超巨大中国市場との付き合い方はこれだ
日中若者研究の専門家、博報堂・原田曜平さんに聞く

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日本の「紙おむつ」が今中国ではヒット中

――日本企業では中国からの撤退を模索する動きもあり、特に最近では6億人の人口を持つ「東南アジア」への熱が高まっています。

原田 ただし、「反日」というマイナス要素があってすら、東南アジア全体に並ぶほどの市場規模を中国は持っています。たとえば「親日・東南アジア」では2012年、日本車が新車販売台数で8割近いシェアを占めました(約273万台)。ですが、その台数は尖閣問題で大打撃を受けた「反日・中国」(約250万台)とようやく並ぶ程度でした。
   そもそも東南アジアと一口に言いますが、国ごとの人口を見れば中国とは比べられる規模ではないし、宗教も異なる。1つにくくるのは非常に危うい。しかも韓国の進出もあり、若い世代に限って言えばもはや親日エリアと言っていいか怪しいくらいです。
   「これからは中国だ」「中国はダメだ」「なら東南アジアだ」というような、右にならえ的な動きはどうかと思いますよ。こうした東南アジアの現状も踏まえながら、中国市場についてももっと冷静に判断する必要があると考えます。

――では、具体的にはどういう戦略を立てるべきなのでしょう。

原田 ここまでこじれてしまっては、他国との単純な競争ではまず日本製品は選ばれません。まずは第1ステップとして「日本企業にしか作れないもの」を重点的に売っていくのが大事だと思うんです。
   たとえば中国では今、日本製の「紙おむつ」がメチャ売れしています。信じられないくらい売れている。というのも日本の紙おむつはあまりにレベルが高いので、中国メーカーや他の国ではとても作れないからです。
   車にしてもエコ意識が高い人をターゲットに、ハイブリッド車を売るとか。市場ボリュームは減っちゃうかもしれないけど、そういった「付加価値」に特化していくことが必要ではないでしょうか。こうした製品に力を入れれば、反日ムードが高まっても「紙おむつは他に良いものがないし、日本製品を買うしかないか」とリスクを減らせる。それが日本の利益にもなるし、結果的に「こんなしっかりした商品を作れる国なら」「やはり日本の商品にはいいものしかない」と日本の好感度を上げることにもつながる。
   そもそも隣国同士はどこでも「親友」になりにくい。日本人はビジネス相手の国を「好き」になりたがるところがありますが、好き、嫌いはひとまず措いて、「不安定さ」を前提に付き合っていくべきではないでしょうか。
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