金利以外のサービスをアピールする戦略も
金利競争の背景には、住宅ローンが国内で融資需要を見込める数少ない有力な分野と言えることがある。バブル崩壊からリーマン・ショックを経た過去20年超の間に、国内の有力企業は借金を減らす一方で、内部留保をためこみ、財務体質を改善してきた。中小企業も縮む国内市場で新たな投資に踏み込みにくく、融資需要が乏しい。このため、融資拡大に住宅ローンは欠かせない存在で、地銀も事情は同じだ。最近では大手行、地銀に加えてネット専業銀行も住宅ローンに注力し、顧客獲得競争が激しくなっている。
ただ、金利は各行とも過去最低に近い水準に来ており、さらなる引き下げ余地に乏しいのも実情だ。このため、金利以外のサービスをアピールする戦略も目立つ。
みずほ銀行が8月に導入したのは柔軟な返済方法。出産による育児休暇取得時期や子供の進学などでまとまった学費が必要になった時期に、返済額を減らすことができる。逆に、子供が自立するなどして余裕ができた時期には、返済額を増やせるようにする仕組み。毎月またはボーナスの支払い額が硬直的だと家計の圧迫感が大きくなる時期があることに配慮した。
一方、りそな銀行は女性向け住宅ローンを6月にリニューアル。「頭金が2割必要」との融資条件を取り払い、ホテルなどでの割引サービスを付け加えた。従来からある、特定の病気にかかった際に借金が減額される疾病保障なども各行が改めてアピールするなど、金利外競争もヒートアップしている。