ネット右翼は「在特会」には批判的だ
――在日特権を許さない市民の会(在特会)などによるヘイトスピーチ問題が物議を醸しています。「ネット右翼」たちは、在特会などをどう見ているのでしょうか。
古谷 「ネット右翼」と呼ばれる層の多くは、在特会などに対し、「下品だ」「やり方が悪い」などと否定的です。とはいえ、思想面では結局どちらも「嫌韓」で同じ。いくら在特会の方法論だけを否定して、自分たちは「キレイな嫌韓」と主張しても、メディアの多くは「嫌韓」自体がダメだという論調ですから。反論するならば方法論ではなく、自分たちは朝鮮民族ではなく「韓国政府」への批判をしているんだ、思想が違うんだと言えばいいんですよ。
――今回の著作の意義について改めてお聞かせください。
古谷 これまでは「ネット右翼」を、批判的な立場からバカにするか、保守の側から礼賛するかの議論しかなかった。しかし保守の論客はネットや若者について詳しくない人が多いので、「ネット右翼」について語れなかったんです。そこに自分を含め、どこかもやもやした思いがあったが、今回その部分を言語化できた。「ネット右翼」について、実態や社会的な背景を考察したものは初めてだと自負しています。
古谷経衡氏 プロフィール
ふるや つねひら 1982年生まれ。立命館大学文学部卒業。ネットと「保守」、マスコミ問題、またアニメ評論などのテーマで執筆活動を展開するとともに、CS放送やインターネット番組などにも多数出演している。著書に『ネット右翼の逆襲』(総和社)、『竹島に行ってみた』『韓流、テレビ、ステマした』『フジテレビデモに行ってみた』(いずれも青林堂)など。