国内のスマートフォン(スマホ)メーカーが正念場を迎えている。既にNECが撤退を表明、パナソニックも個人向けスマホ事業から手を引くと報じられた。
他社も安泰とは言いがたい。国内ではシェアがあっても、世界市場ではまるで存在感なし。拡大路線は難しく、逆に新興の中国メーカーが勢いを増しており状況は厳しい。
国内メーカー「トップ3」の合計でやっとアップルに匹敵
調査会社MM総研が2013年5月9日に発表した、2012年度の国内スマホ出荷台数シェアによると、首位は米アップルで35.9%。以下、富士通の13.0%、ソニーモバイル12.2%、シャープ11.9%と続く。この3社を合計してようやく、アップルを若干上回る程度だ。しかもNECカシオ(シェア4.5%)を加えた国内勢はいずれも前年度比減だったのに対して、アップルと韓国サムスン電子(シェア8.5%)の海外組はプラスを記録している。
世界市場をみると、日本メーカーの苦戦ぶりは明白だ。米IDCによる2013年4~6月期の世界スマホシェアのトップ5はサムスン、アップル、韓国LG、中国レノボ、中国ZTEの順となっている。特にLGとレノボは前年同期比で出荷台数を倍増させた。2012年の同調査をみると、10~12月期の集計でソニーが4位に顔を出しているが、それ以外の日本メーカーは登場しない。
現在、国内でスマホを供給している国内メーカーは6社。うち撤退を表明したNECは、「ガラケー」と呼ばれる従来型携帯電話では国内シェアトップに君臨していた。「メディアス」ブランドでスマホに参入、海外進出も視野に入れたが結局は「スマホへの対応が遅れ、魅力ある商品を開発できなかった」と川島勇取締役が敗戦の弁を述べている。
8月31日付の「週刊ダイヤモンド」によると、NECの主要事業に官公庁や企業に対するITシステム構築がある。例えば銀行の場合、システムに営業マンが外出先からアクセスする際に使う端末がスマホだ。だからこそスマホ事業が重要だとNECは継続してきたが、その「持論」を支えきれないほど状況が悪化してきたと同誌は指摘している。
パナソニックも、ガラケー全盛時は隆盛を誇っていたものの、スマホ時代への転換を読み間違えた。主要メディアは「個人向けスマホ事業から撤退」を既定路線のように伝えている。海外企業との合弁だった「ソニー・エリクソン」を含めてかつては11社を数えた国内メーカーは再編が進み、ここで2社が消えればその数は4社にまで減ることになる。