「曲がるディスプレー」使用せず
サムスンは「ギャラクシー・ギア」の発売を、2013年9月25日以降と発表している。日本では、年末商戦向けにスマホの新モデルが発表される10月が有力だ。
他社の動きはどうか。ソニーは「スマートウォッチMN2」を国内外で発売済みだ。同社のスマホ「エクスペリア」とのセット使用が前提で、通話に加えてツイッターやフェイスブックの内容表示、ショートメールの受信と、機能面では「ギア」と似ている。米クアルコムはサムスンと同タイミングでスマートウォッチ市場に参入した。グーグルの基本ソフト「アンドロイド」搭載スマホと連動させて使う。
ほかにも数社が既に製品を開発しており、サムスンが「1番乗り」というわけではない。ただサムスンの場合、自社ブランドのスマホではシェアで圧倒する。新発売の「ノート3」だけでなく、主力モデルの「ギャラクシーS4」やタブレット型端末と今後連携するようになれば、利用者も広がりを見せるだろう。
一方で、他社とは違う独創性を望んでいた消費者からは失望もあったようだ。米ウォールストリートジャーナル電子版は9月5日付の記事で、サムスンが開発した「曲がるディスプレー」が「ギア」に使われなかったため、「期待していた人々にはがっかりされるだろう」とした。また、あくまでスマホを補完するデバイスで、複雑な作業はこなせないうえ、スマホとセットでなければ作動しないのも少々ハードルが高そうだ。当初は「ハイテクに通じた新端末に飛びつくタイプのユーザー向けのニッチ商品」と位置付けている。
それでも、スマホ市場での最大のライバルであるアップルの機先を制したのは間違いない。既に「アイウォッチ(iWatch)」の愛称で開発がうわさされているアップルのスマートウォッチは、期待とは裏腹に今のところ近日発表という話は伝わってこない。
スマホやタブレット型PCではアップルが先行して一気に市場を開き、サムスンが追い上げた。スマートウォッチではサムスンがアップルより早く製品を投入した。「鬼の居ぬ間に」サムスンはユーザーの取り込みに成功できるだろうか。