「マーケティングの天才秋元康に学ぶ AKB48ヒットの秘密」―2013年8月22日、こんなタイトルの本が発売された。
パッと見、よくあるビジネス本の1つのように思えるタイトルだが、何とこの本、「秋元康氏の守護霊」を降臨させ、インタビューを敢行したというのだ。秋元氏の霊は、宗教法人「幸福の科学」の大川隆法総裁に降臨したそうだ。
「守護霊よ、どうか教祖殿に降りたまえ」唱えたら秋元氏が降臨
幸福の科学の出版部門では「公開霊言シリーズ」と銘打って、ある人の守護霊を「あの世」から呼び出し、本人の潜在意識で考えていることを大川総裁の肉声を通して明らかにするという本を多数出版している。これまでイエス・キリストやジャンヌ・ダルク、坂本龍馬など歴史上の人物から、福島瑞穂氏や菅義偉氏ら現役の政治家、さらに三木谷浩史・楽天社長、アナウンサーの膳場貴子さんなど、あらゆる人の守護霊を呼び出している。
今回は、「『なぜ成功しているのか』に関し、本人も知らない部分や、マスコミの取材が及ばない部分について、探り当てたい」との理由で秋元氏の「守護霊インタビュー」を実施したという。
大川総裁は合掌して目を閉じ、
「秋元康さんの守護霊、秋元康さんの守護霊よ。どうぞ、幸福の科学 教祖殿 大悟館にお降りくださって、われらに、その成功の秘密、ヒットの秘密等について、ご教示くださいますよう、心の底よりお願い申し上げます。そうした成功の秘密を、日本国民や世界の人々にお伝えできれば、幸いに存じます。秋元康さんの守護霊よ。どうか、幸福の科学 教祖殿に降りたまいて、われらに、その成功の秘密を明かしたまえ」
と唱え、約10秒沈黙。すると、次の瞬間には秋元氏の守護霊として話をし始めた。
「前世は世阿弥。お神楽踊る女性だったことも」ぶっ飛び発言も
大川総裁に降臨した秋元氏の「守護霊」は、「自分だけの成功だったら続かないけど、ほかの人を成功させていこうとしてるので、『どうやったら、この人がヒットし、大勢に受け入れられるか』ということを、いつも考えてる」「十代から二十代前半ぐらいのところの気持ちをいつも意識してる」などとプロデュース業について語ったほか、「霊言は言葉のイメージが少し悪い。『ミラクルボイス』とかさあ、もうちょっといいネーミングを、少しは考えたら?」「過去世(かこぜ、前世の意)があるとすれば世阿弥。お神楽みたいなものを踊る女性だった転生もあった」などぶっ飛んだ発言も飛び出した。
また、幸福の科学が芸能界にスターを輩出しようとしているがまだまだという話を聞くと、「指導をしてる人たちに、大してやる気がないんだろうと思うよ」と指摘したり、大川総裁の娘・咲也加さんに「(総裁の)娘さんなの?顔がちょっと似てるね」と声をかけたりする一幕もあり、本当に大川総裁に秋元氏の意識が乗り移っているかのようだ。
一方で、「大分からだとか、栃木からだとか、そういう田舎から出てきたような子が、(中略)そういうポッと出の子が変化していくあたりが面白いなあ」と話している。「栃木から出てきた子」は大島優子さんのことを指していると思われるが、大島さんはAKB加入前から子役として活動しており、「ポッと出」とは言いがたい。「守護霊」と実在する秋元氏の間では認識の違いがあるのだろうか。
巻末には付録として、前田敦子さんの「守護霊」からの言葉も掲載。「秋元先生は、天才プロデューサーです。現代の魔術師です。平凡な私たちを、日本の、そして世界のアイドルにしてくれました」と、240字余りの思いがつづられている。
「話し言葉で読みやすい」「すごくためになった」Amazonでは好評?
インターネット上では、「秋元氏・前田さんの守護霊降臨」という意外性から「すごいもの見つけた」「これヤベーな」と話題に。9月4日時点でAmazonの「宗教入門」ジャンルランキング18位だ。
レビュー欄には「話し言葉で読みやすく、こんなところにヒットの秘密があったのか!と驚きの内容だった。企画系の仕事をしている自分にとって、ひらめきのきっかけをもらえそうな本」「『霊言』って、もっとスピリチュアルで不思議な世界かと思ってたけど、すごくためになることばかりでした」「この本の中で明かされた彼の『前世』にも驚かされたが、今の活躍の姿をみて納得できた」など、意外に称賛のコメントが並んでいる。