活断層「肯定派」と「否定派」が激しく対立
5回の評価会合を重ねた結果、中立的な立場をとる原子力規制委員会の島崎邦彦委員長代理に、「活断層である」と主張する渡辺満久・東洋大教授と、「活断層を否定するに至っていない」とする広内大助・信州大准教授。これに対して、「地滑りの可能性が大きい」という岡田篤正・京都大名誉教授と、「活断層でない可能性が高い」とする産業技術総合研究所の重松紀生・主任研究員の、ほぼ真っ二つに割れていた。
なかでも、活断層「肯定派」の渡辺氏と「否定派」の岡田氏は激しく対立。2013年8月19日の第5回会合では、岡田氏が「土地勘もない人が知識もなく判断するのはおかしい」と、渡辺氏を批判。渡辺氏は「学会で議論したい」と応じ、岡田氏は「望むところだ」と、やり返す一幕もあったそうだ。
打開策だったのだろうか、9月3日付の日本経済新聞によると岡田氏は、専門に偏りがあるとして「別の専門家も入れてほしい」と専門家チームの体制拡充を原子力規制委員会要望していた、と伝えている。
「活断層ではない」とする判断の決め手となったのは、専門家チームでただ一人の地質学者である重松氏の発言とされる。鉱物の分析結果などから断層が40万年前より大幅に古いことを認定し「(関電の言い分は)おおむね妥当」と表明した。座長役の島崎委員長代理が、多少強引とも取れる進行をみせたこともある。
ただ、正式な評価書をまとめるには調査チーム以外の専門家の審議を経る必要があり、さらに数回の会合を開くことになるが、専門家が寄って集って調べても「活断層」の判断は難しいようだ。