北朝鮮スキー協会、リフトの禁輸措置に怒りの声明
そうは言っても、スキー場の建設にはハードルがある。リフトをスイスなど欧州から輸入して建設する予定だが、リフトは国連制裁で北朝鮮への輸出を禁じている「ぜいたく品」に該当するとして、メーカーが次々に輸出を断っているからだ。
この動きに、北朝鮮のスキー協会は8月24日に異例の声明を出し、
「われわれは、もともと国連の対朝鮮『制裁決議』というものを認めないが、その『決議』自体にも経済建設と人民生活に必要な対象は制裁項目に含めないとしている。スキー場のリフト設備からロケットや核が出るのでもない。もし、一部の国の政府がわが国では一般の住民がスキー場を利用できないと思ったならば、それはわが制度と人民に対する耐えがたい冒とくである」
と強く非難した。
正恩氏は13年8月の視察時には
「今年の冬からスキー乗りにきた人々が海抜1360余メートルのテファ峰の頂点までリフトを利用できるように工事を急がなければならないと述べた」(朝鮮中央通信)
といい、正恩氏にとってリフトはかなりの関心事だ。それだけに禁輸は受け入れられないようで、異例の声明につながった模様だ。
北朝鮮は「ソウルを火の海に」などと威嚇、13年3月には韓米合同軍事演習に反発して一方的に朝鮮戦争の休戦協定破棄を宣言するなど強硬姿勢を強めていたが、13年5月には、人民武力相が対南強硬派の金格植(キム・ギョクシク)氏から張正男(チャン・ジョンナム)氏に交代したことが判明。金氏は12年10月に人民武力相に就任したばかりで、わずか半年で交代したことになる。この人事には南北間の緊張緩和を進める狙いがあるとみられていたが、それが少しずつ裏付けられつつあるようだ。
8月下旬には6か国協議の議長を務める中国の武大偉・朝鮮半島問題特別代表が訪朝するなど、中国を巻き込む形で対話ムードが高まっている。