2020年夏季五輪の開催地が決定される2013年9月7日(日本時間8日早朝)の国際オリンピック委員会(IOC)総会を前に、ゼネコンや不動産、スポーツメーカーなどの「東京五輪銘柄」が上昇している。
東京とイスタンブール(トルコ)、マドリード(スペイン)3都市が立候補しているが、五輪の東京開催が決まれば、競技場や選手村などの建設や会場周辺の再開発にインフラ整備、また外国人観光客の増加が見込まれるなど、日本経済に与える影響は大きい。2020年の「東京五輪」の招致は、株式市場の一大注目の「材料」になっている。
2020年の「東京五輪」は株式市場の一大注目材料
五輪開催が決定すれば、夏季としては1964年以来、56年ぶり。市場関係者のあいだには、高度成長期の象徴となった64年の五輪から半世紀以上が過ぎた2020年の五輪は、「脱デフレ」に向けたカンフル剤としての効果を期待する声が少なくない。
五輪決定→建設業界を中心とした需要拡大→賃金上昇→脱デフレ、といったシナリオを描いている。
そうした中で、野村証券は2020年の東京五輪の経済効果を、「生産誘発額を含めれば名目GDPの0.3%に相当する2兆9609億円、東京都内では1兆6753億円」と試算。7月24日付の「オリンピックはアベノミクスと相乗効果を生む」と題したレポートでは、「東京五輪はインフラ、メディア、消費関連、セキュリティなどに関連した企業の業績に恩恵をもたらす」と指摘している。
さらに、国立競技場の元施工の「大成建設」や五輪関連施設の建設とあわせて2016~19年に発生する累計300万トン以上のセメント需要の恩恵を受ける「太平洋セメント」、品川エリアの再開発を計画する「JR東日本」、湾岸エリアの土地を多く保有しホテルが入居するビルを抱える「三井不動産」、スポーツ人口の増加と2016年のリオデジャネイロ五輪からゴルフが採用されることで販売増が期待される「ゼビオ」、警備の増加などで売上増が見込める「綜合警備保障」――の6銘柄を、とくに業績面へのポジティブな影響が期待される銘柄として選別した。
これら6銘柄の株価は、9月2日の終値で、大成建設が前週末に比べて23円(5.71%)高の426円、太平洋セメントは1円(0.27%)高の370円、JR東日本160円(2.12%)高の7700円、三井不動産30円(2.58%)高の3185円、ゼビオ23円(1.04%)高の2239円、綜合警備保障が141円(0.79%)高の1789円と、いずれも上昇した。