主張自体は10年以上前からある話
とはいえ研究の難しさもあり、まだ「カタカナ=朝鮮半島由来説」が仮説の域を出ないのも事実だ。なにしろ史料となる文献のほとんどは、国宝・重要文化財級の貴重な経典のため閲覧自体が困難で、研究者は文字通り「拝み倒して」調査を行っている。中にはこうした経典に触れるため「出家」した研究者さえいる、という笑い話さえ伝わる。
またNHKはさも新発見というようにこの話題を取り上げたが、カタカナ=朝鮮半島由来説は、決して目新しいものではない。「カタカナ」的な文字が朝鮮半島で日本より早く使われていたのでは、という推測自体は戦前から存在するし、特に小林名誉教授は10年以上前から繰り返しこの説を主張、特に2002年、やはり新羅由来の経典から同様の用例が発見されたと発表、日韓で一大センセーションを起こしている。