政府が消費税増税の是非を判断するために有識者から意見を聴く集中点検会合で、日本新聞協会の白石興二郎会長(読売新聞グループ本社社長)が新聞を対象に「軽減税率」の導入を求めた。
2014年4月の消費増税をきっかけに、新聞社の経営がさらに厳しくなることがあるとみられるが、許されてよいものなのか。
朝日新聞社長「食うか食われるかの戦い」
「税率を引き上げる際、生活必需品を中心に軽減税率を導入すべきで、知的生活必需品としての新聞も対象にしてもらいたい」。日本新聞協会の白石興二郎会長は、2013年8月30日に開かれた政府の消費税増税に関する集中点検会合でこう力を込めた。
増税の動きを前に、新聞業界の危機感は募るばかりだ。
2013年1月には、朝日新聞の木村伊量社長が増税をきっかけに経営環境がさらに厳しくなることを指摘。「食うか食われるかの戦いです。体力がない新聞社がギブアップして、 新聞業界の地図が塗り変わるようなことも頭に入れておく必要があります」と、財務基盤が弱い新聞社が経営破たんする可能性を示唆した。
新聞を読む人は減少傾向が続いており、新聞各社は発行部数を減らしている。2000年以降は平成不況と少子高齢化の影響に加え、インターネットの普及などメディアの多様化にともなって、購読料と広告料による収益構造が不安定化した。中小の地方紙や業界紙の休刊、廃刊が目立ち、休刊に至らなくても、夕刊を廃止した朝夕刊紙も多い。