ブルーライトを30%カットするスマホ開発
ブルーライト研究会では、先述した加齢黄斑変性だけでなく、眼精疲労や目の痛みを引き起こす可能性を説明している。さらにサーカディアンリズムの乱れが、目以外の疾患につながる恐れがあるとも指摘している。
いわゆる体内時計のリズムが崩れると、睡眠に影響が出る。寝つきが悪い、眠りが浅くなるといった具合だ。夜遅くまでブルーライトを浴びた結果、自律神経系や免疫系にも悪影響を及ぼすという。睡眠障害や、イライラといった精神状態の悪化も否定できない。血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きが低下して糖尿病のリスクを高める、さらにブルーライトとの直接的な関連性は明らかにされていないものの、サーカディアンリズムが乱れやすい職場で働く女性の場合、乳がんの発生率が非常に高い点も挙げた。
ただ同会も認めるように、医学的な議論はまだ十分とは言えないようだ。2012年10月27日付の朝日新聞はこの点を突いている。太陽光に含まれるブルーライトに比べて、PCやスマホが発する光量はわずかだというのだ。眼精疲労について、筑波大学の大鹿哲郎教授の「青色光(ブルーライト)が有害だとする有力の証拠はまだない」とのコメントを引用している。
それでも最近は、ブルーライトから目を保護するための特製メガネが販売されたり、「スマホの画面に張ればライトを大幅カット」とうたう保護フィルムが開発されたりしている。NECカシオが3月1日に発売したスマホ「メディアスX」には、ブルーライトを30%カットする「ブルーライトカットモード」が搭載され、富士通も6月7日発売の「アローズNX」で追従した。ブルーライトと健康の関係性の究明が進めば、次世代のスマホには必須の機能となるかもしれない。