外国為替証拠金(FX)取引などの差金決済取引(CFD)の先進国、英国のIGグループ傘下のIG証券の露出度が増している。ビジネス誌などで、「IG」の文字をよく見かけるようになった。
同社は証券会社といっても、株式の現物取引は扱っていない。FXや株式CFD、株式指数CFD、債券CFD、商品CFDといった金融先物取引を専門に扱う会社だ。
人気のバイナリー取引、「丁半博打のよう」との声も
IG証券は、IGグループが2006年9月にエフエックス・オンライン・ジャパンを買収したのを足がかりに、11年には商品先物取引に参入するとともにIGマーケッツ証券に社名変更。2013年1月に、現在の社名に変更した。
FXをはじめ、少額の元手で多くの利益を得られるレバレッジを利かせたCFD取引に特化し、顧客を獲得してきた。
そんな同社で人気なのが、バイナリーオプション取引。この取引を日本でいち早く取り入れた会社だ。
バイナリーオプション取引は、FXや先物取引とは少し違って、「HIGH」か「LOW」を選ぶ「二者択一」の取引。たとえば、ドル円通貨のバイナリーオプションであれば、円が上がるか下がるかを予測して、選ぶ。予想どおりになれば利益を得ることができるし、予想がはずれれば損失を被ることになる。
ただし、その損失は投資元本に限定される。FXでは自ら損切りしないと損失が膨らみ、最悪の場合には投資した以上の損失が発生する可能性もあるが、そのようなことはない。
通常は24時間以内で決済するのが取引の特徴で、値動きがほとんどなくても予想が当たりさえすれば、利益をあげることができ、儲かったかどうかが短時間でわかる。
取引業者によって条件が異なるが、相場がバイナリーオプションの購入時より上がるか下がるかを予想する際に、判定時間までが短いほど結果を早く確認でき、変動リスクが抑えられることもあって、短期間(時間)での売買が活発に行われている。
こうしたことから、「丁半博打のよう」との声もある。
取引期間に規制、「2時間未満」は禁止
そんなバイナリーオプション取引は2013年12月1日から、取引期間(時間)に規制がかかる。これまでは規制されていなかったが、投資家保護を理由に、数分後といった超短期の騰落を予想させるのをやめ、バイナリーオプションの購入開始から損益が確定する判定時刻までの時間を、「2時間以上」にした。
「バイナリーオプションはギャンブル性が高い」との指摘を受けて見直していた金融庁は、「投機的な取引を禁止するのが狙い」という。円安局面が続くなか、個人投資家の関心が高まっており、新たな規制で市場環境を整える目的もある。
現在、バイナリーオプション取引に参入している業者はIG証券など10社で、12月1日までにシステムを整備する。新規参入を希望する業者は、参入時にシステムを整備していることが前提だ。
バイナリーオプション取引の市場規模は、2011年1~3月期に約1300億円だった出来高が12年7~9月期には2000億円の大台に達し、13年1月~3月期には2400億円台に乗せ、急速に伸びている。FXやCFD取引が伸び悩んでいることから、FX業者らが新たな収益源として続々参入。IG証券としては露出度アップで、今のうちに顧客基盤を固めたいようだ。