汚染水大量漏出に大気中の線量一時上昇 原発事故収束宣言は間違いだったとの指摘

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   福島第1原発のタンクから汚染水が大量に漏れたり、福島県の一部で大気中の放射性セシウム濃度が一時急上昇したりするなどで、原発事故は収束したのかとの疑問がネット上でも出ている。一部政党からは、政府に収束宣言の撤回を求める動きが出ているほどだ。

   福島第1原発では、高濃度汚染水の流出問題が深刻だ。

原子力規制委は、「重大な異常事象」と評価

   原子炉建屋の地下水が汚染されて1日約400トンも出ているほか、2013年8月19日には汚染水の貯蔵タンクから約300トンもが漏れる事故があったことが分かった。この事故では、地盤沈下を受けて移設されたタンクから漏れており、タンクにゆがみができていた可能性も報じられている。また、汚染された地下水については、東電が地中を薬剤などで壁に固める作業を進めているが、その影響からか地下水位が上昇しており、壁の上や横からあふれ出る恐れも指摘されている。

   タンク事故との因果関係はまだ分からないが、福島第1原発の近辺では、大気中のセシウム濃度が上がったことも相次いで報告されている。

   19日には、作業員2人の頭部から放射性物質が検出され、原発でのセシウム濃度が東京電力の警報基準の8倍になったことが分かった。また、福島県双葉町ではこの日、大気中のセシウムが毎時1.101マイクロシーベルトから1.195マイクロシーベルトに一時上昇した。これは、セシウムの放出源が原発と推定されると県が27日に発表する事態になった。

   汚染水問題などを受け、共産党の市田忠義書記局長は26日に国会で会見し、政府が原発事故に責任を持つことを求めるとともに、収束宣言を撤回するように迫った。一方、タンク事故については、政府の原子力規制委員会が28日、国際原子力事象評価尺度(INES)をこれまでの1から「重大な異常事象」に当たる3に引き上げると発表している。

   そんな中でも、果たして原発事故が収束したと言えるものなのか。

「日本の技術力を集中的につぎ込んでやらないといけない」

   京都大学原子炉実験所の高橋千太郎教授は、原子炉の冷却に成功して、原発事故は一時的には収束したとした。しかし、原子炉から燃料棒を取り出すまでは、事故は収束しているとは言えないと指摘する。

「原子炉本体からは汚染水が漏れていて、まだストップする手立てができていないのがとても気になります。どれぐらい海に流出しているのか、実態すら分からないままですからね」

   タンク事故については、溶接せずボルトで留めただけなどの仮作りであり、2年も経てば傷みが出ることが分かっていたはずなのに、東京電力が十分に管理していなかったことが原因だとした。

   ネット上では、東電社員ではないかともいわれる人物が2ちゃんねるで2013年8月25日に絶望的な状況を書き込んだと話題になっている。大地震が起きたり地盤沈下が進んだりすれば、原発がもっと汚染されて近づけなくなり、冷却や汚染水対策ができなくなって移住するしかないと明かしたものだ。

   この見方について、高橋教授は、タンクを補強するなどすれば絶望的な状況は防げるとしながらも、こう指摘する。

「東電は、避難されている人たちの心情を理解して、迅速に対応しているとは思えません。できないのなら、政府の責任でやるべきだと思います。汚染水流出については、日本の技術力を集中的につぎ込んでやらないといけないでしょうね」
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